戦場のアリア

原題…JOYEUX NOEL
監督…クリスチャン・カリオン
出演…ギョーム・カネ／ダニエル・ブリュール／ゲイリー・ルイス／ダイアン・クルーガー

極私的満足度…○

ほのぼの♪な戦争映画
戦場っていうぐらいだから、勿論戦争映画だし、爆撃のシーンや負傷している兵士・死んでいく者もスクリーンに映し出されるけれど、でもこれはかなり違ったアプローチの戦争映画だなぁと思いました。中盤は笑える部分たっぷりで、とても楽しかったし
第一次世界大戦下、フランス北部のノーマンズランド(交戦する敵陣の間に出来る無人の空間)で起きた奇跡の実話を基にしたお話でした。後味スッキリとはいかないけれど、心がじんわりする戦争映画。これはカンヌやＧＧやオスカーで賞賛されるのも当然と思える良い作品です。


イントロで、それぞれの国の子供達が「あれは悪い国」とか「○○人を殺せ」とか言う教壇でのスピーチを見てガツンときましたあぁヨーロッパでも日本と同じようなことやってたんだなぁ…平和ではない時代だったんだ。と一気に腑に落ちる。ドイツのオペラ座に皇帝の勅使がやって来るところは、まるで宝塚劇場に憲兵が入ってくるみたいな感じだった。どこの国でも戦争ってのは同じだなぁ…と痛感。日本人が「正月ぐらいはゆっくり過ごしたい」そう願うように、ノーマンズランドの３カ国の兵士達も「クリスマスぐらいは銃器を置いて平和でいたい」皆そう願っていたからこそ…あの奇跡が起こったんだろう。戦地が日本だったら、この奇跡の「クリスマス休戦」は起きなかったに違いない。クリスマスが欧米人にとって特別な日だったからこそ成り立ったんだよね。
戦場の静かな夜に、テノールの声とバグパイプの音が響いたときは、軽くウルッてきたバグパイプとかパイプオルガンの音って妙に琴線に触れる。　を片手に、シャンパンを片手に、バグパイプを片手に…それぞれがノーマンズランドで聖なる夜を過ごすシーンは、心がじんわりほのぼのしました。の名前を言い張るシーンはかなり爆笑。フランス兵のポンシェルの上手い間で出てくる台詞は笑いのツボでした。彼の目覚まし時計に関するエピソードの部分も微笑ましい一面です。
最後の最後、それぞれの司令部のエライさんが出てくるけど、あのダメっぷりは、今の世の中の状態がそのまま描き出されているように感じました。エラくなっても下々の気持ちが分かるようでなきゃダメです！

お互いがノーマンズランドで話し合うシーン、とりあえず英語で最初は喋るんだけど、ギョームがドイツ語で話してたり、ダニエルがフランス語を喋っていたり…やっぱり上官クラスともなると、多言語が喋れるんだなぁって変なとこで感心してしまいました。そうそう、軍服。スコットランドのは実にソレっぽくてブロックチェックの帽子がカワイかったし、ドイツ軍の上官の防寒コートもノーブルなシルエットでカッコ良かった。でもやっぱり軍服にしてもセンスが光ってるのはフランス軍でしたねぇ。パリの粋を感じるデザインでした。
あ、ダイアン・クルーガーも歌ってるのか？と思いきや…コレはクチパクだったそうで(^^;　なるほど、ノドが動いてなかったな〜と。後になってツッコミ入れたくなりました（笑）

当ブログに初めてTBする方、初めていらした方へ(必読です)