2006年10月03日

カポーティ

capote1.JPG

原題…CAPOTE
監督…ベネット・ミラー
出演…フィリップ・シーモア・ホフマン/キャサリン・キーナー/クリフトン・コリンズJr.

極私的満足度… △

もう、書けない・・・
昔は本を沢山読んでいたけれど、この手の文学というか文芸というか…そーいうのは全く読んだことがない。だから実を言うとオードリー・ヘプバーン主演の有名な映画『ティファニーで朝食を』の脚本家がトルーマン・カポーティだってことを、この作品を見て初めて知ったんだよね(恥)たらーっ(汗) 他にもハンフリー・ボガート主演作の脚本を書いたり、とにかく物凄い有名な作家さんだ。ってのは知っていて、さらにゲイだったってのも知っていたんだけど・・・自由奔放な時代の寵児だった売れっ子作家の彼が、ある作品をきっかけに「もう、何も書けない」そんな心神喪失状態になってしまう。そのターニングポイントを綴った作品でした。
カポーティを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンが、06年の主演男優賞を受賞したのは知っていたけれど、そして作品的にも公開前から激しく期待されてるのは、昨年のトロント映画祭での様子で感じ取っていたけれど・・・いやはや、参りました。最初は思わず笑っちゃったけど、もー丸まるトルーマン・カポーティになりきってましたよ!シーモアさん。実物のカポーティは、公式サイトで初めて見たんだけど、もー姿からソックリ!そしてすんごい声色の演技。これはシーモアさんにしか出来ない役だなって思いました。
そもそも、シーモアさんは『ブギーナイツ』『マグノリア』に代表されるように、変態をやらせたら右に出るヤツはいないだろ?ってぐらいの、いわゆる性格俳優なんだけれど、最初から最後まで…どんなシーンでも「あの声」でね。心の中で拍手しましたよ。
一方で、『冷血』(←ターニングポイントになった作品)の主人公のモデルとなったペリーを演じたクリフトン・コリンズJr. 彼の演技もまた、目を見張るものがありました。死を目前に控えた囚人の切羽詰まった状態がこっちにも伝わってきて…見てるこっちをカポーティと同じ心境にさせてくれました。

犯人であるペリーを取材するうちに、なんだか自分と同じニオイっつうか境遇を感じ取ったカポーティ。独房で衰弱しきったペリーにベビーフードを食べさせ介抱する。だけど一方で彼のことをテーマに作品を書く、作品は間違い無く自分の代表作になるし、バカ売れする=ペリーで金儲け。果してそれでいいのか…「友達だよな?」度々ペリーから来る手紙。…自分コレでいいのか? そんなこんなでどんどん窮地に追い込まれて最後には・・・うーん。なるほどね。書けなくなるのもやむなし。そう思わされましたよ。
とても軽い気分でサラッと見られるような作品ではなかったけれど、時折、まるで小説の中にある章と章の間に描かれる挿絵のように差し込まれる、静かで美しい風景のおかげで、112分という尺の長さも感じずに、嫌な気分にもならずに見ることが出来ました。

ひらめき当ブログに初めてTBする方、初めていらした方へ(必読です)
posted by カル〜★ at 14:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 【カ】行のreview
この記事へのコメント
カル〜★さま
初めまして、明日公開のブラックダリアを検索しててこちらのブログにヒット、そちらの記事にコメントさせて頂こうかと思ったのですがこちらにお邪魔させて頂きました!カポーティの方は既に始まっているし見に行くつもりだったので余計ビンゴ!って感じでした。
ただ恥ずかしながら私は内容をカポーティの「当時の有名なNYでのきらびやかなセレブパーティ映画」かと勝手に間違って思いこんでて(おばかですね)この夏見たアンリカルディエブレッソンのドキュメント映画での彼のポートレイト:南洋植物の温室のようなバックで見上げるとても詩的で美しかった(ほんとに天使のよう!)若い頃のカポーティとの対比、とかが楽しみで「それはそれは」と行くつもりでいたのですが、本当は「冷血」を取材した彼を下敷きにした、もっとシリアスな映画だったということでやや思案中でした。でも《時折、まるで小説の中にある章と章の間に描かれる挿絵のように差し込まれる、静かで美しい風景のおかげで、112分という尺の長さも感じずに、嫌な気分にもならずに見ることが出来ました。》という最後の感想にやっぱり見に行く気になれました。
なんていうかアメリカの陰って「ブラックダリア」に関してもそうですが、本当にびっくりするほど重くて、そのギャップにはいつも戸惑うのですが、静かで美しい風景も同時にあるというのはなんだかそれに対する救いのような、現実の重さに際して希望を感じれる気がして、なんだか「ふうっ」て息がつけました。
ブラックダリアも《グロいシーンがあるのでは?と心配する女性も多いみたいなんですが、そんなにキモくないので、是非大きなスクリーンでご覧になってみてください。》とのコメント、心配してた私にもうぴったりのお言葉で頑張って見に行く気になれました。ジョシュは実はあんまりわかって無かったのですがなんだかすごくファンになってしまいそうな予感で一杯です!
長々と書いてしまいましたが、本当にとても素敵なブログを発見できた喜びで大満足です!
Posted by みやみやきのこ見習 at 2006年10月13日 14:26
>みやみやきのこ見習サマ。
初めまして! 検索して来られて更にコメントまで頂いて…しかもお誉めに預かって(喜)アリガトウございます。
いやいや…「カポーティ」=NYでの絢爛豪華セレブ生活が連想されるだけでも、ワタシなんかよりも全然博識でいらっしゃいます。南洋植物の温室は、確か出てこなかったように記憶していますが、カポーティとその彼氏のスペインの別荘での生活は、まるでヘヴンのようでしたよ。(あんな生活がしてみたいです^^;)
映画を見て「ティファニー〜」よりも「冷血」が読んでみたくなりました。あの時代は小説として発表する前に朗読会なる現代の「試写会」みたいなモノがあったのね〜。なんて、ちょっと勉強にもなりました。

何か「古き良きアメリカ」ってのが連想されがちですけど、良い時代になる前にある暗闇は本当に重たいです。その重たさから解き放たれた喜びで、楽しく明るいアメリカってのが存在してるのかな?とも思いますよね。
『ブラック・ダリア』ワタシの周りの友人も皆口々に「見てみたいんだけど、残殺死体でしょう?」と敬遠してるんですが…や、グロッ!と目を被いたくなるのは、ほんの1〜2シーンぐらいなので(^^; 安心してください。そして、是非数少ない(苦笑)ジョシュファンの一員になってもらえたら嬉しいです。
Posted by カル〜★ at 2006年10月13日 16:12
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/1386037
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック